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2010年08月29日

テレビドラマ「帰国」’10年8月14日 TBS

  やっとこのドラマを観た。録画したものの、重そうで敬遠していた。CMによると軍隊ものらしいが、あの服装は苦手である。それにタイトルの字が難しい。変換もできない。

  敗戦のあとの復員の話かと思っていたら、時は現代だった。軍服姿は幽霊なんですね。
  生瀬勝久がいうなれば案内役。このひとはどんな役でも上手。単に上手、という以上。狂気の殺人鬼もやる気のない刑事もお調子者も、軽々と演じるように見える。
  ここでは、黒子に徹するような抑制された演技がかえって印象強い。

  軍人たちは、撃沈された軍艦に乗っていて海に沈んだままの霊らしい。高い波で何も見えず、他の人の声も聞こえず浮いていた、というふう台詞があった。暗い海の映像にその様を想像した。死を前にして思ったことは、見た風景は何だったのだろう。きっとこのたび訪れているのは、そのとき見た場所やひとなのだろう。
  消えていない思いに心が痛む。

  海から訪れた霊たちのほかに、己が検閲して出されなかった手紙を、靖国神社で連夜朗読している兵隊がいる。
  このところ、加藤周一の「羊の歌」を読んでいて、ちょど戦中から戦後にかけての時期。舞台で発せられる言葉の力が、外とは別の世界を作っていたというふうな記述がある。手紙の朗読を聞いて、その箇所を思い出した。
  劇団系のひとかと思ったら、ARATAという俳優らしい。一語一語聞きほれ、もっと聞きたいと思った。映像にも力があるが、声に出して読まれる文章にも、切なく伝わる思いがあった。

 彼らが現代の日本をどう思ったか。脚本倉本聰の現代感が反映されているところだろう。これがテーマかもしれないが、わたしは反論も賛成もできない、というかしたくない。
  ただ、描かれた彼らの思いの重さがいまもわたしのうちにある。

投稿者 きさら先 : 2010年08月29日 17:42

コメント

よくぞ取り上げて下さいました!
この作品は、舞台の評判がかなり高いと聞いていたので、
何日も前から楽しみにし、リアルタイムで見ました。

生瀬さんの上手さは別格として。あの検閲兵はARATAさん
だったのですね。全くのチェック不足。演技が際立っており
思わず見入って。最近、よく名前をみます。
向井理さんも出演されていたと、つい2、3日前に知った
所です(ヒドイ。。)。坊主頭だと、誰が誰だかよく
分からない。 

と、、、ここで私の悪いクセが。キライな長〇剛を発見。
あーあ、、一気に苦手感情が湧き上がり、。。
たけしさんもちょっと場違いな雰囲気がありました。

テレビドラマ作品にしては、演者に注目の俳優人を揃えた
だけ、何か別の違和感を感じました。実際の舞台をカメラで
撮影、それをテレビを通して見ているような。。う~ん、、
舞台を、短期間で無理矢理ドラマ化しちゃったような??
最近のTVの、軽い演出に慣れきった私が悪いのでしょうが。。

倉本さんの公式HPを見ると、
「これは戦争ものでも反戦ものでもなく、敗戦後大きく変貌
した現代日本への問いかけ」と。問いかけられ、私は何と
答えましょうか。。。

投稿者 Rose : 2010年08月30日 09:08

Roseさま

コメントありがとうございます。
これは舞台だったのですか。予備知識なしに見たので・・・。
そういえば、手紙の朗読の場面などは舞台っぽかったですね。

キャストを見ると、たしかにそうそうたる演技陣ですよね。

>向井理さんも出演されていたと、つい2、3日前に知った
所です

出てましたね~何役でしたっけ?(笑い)
だから軍服軍帽ものはいやなんです。
誰が誰だかわからないし、区別がつかない。
小栗旬はわかったけど、あとお嫌いなあの人もちょっと考えて、判明しました。最後のほうですよね?

好き嫌い多いですね(笑い)

台詞が聞き取りにくかったりしたので、ドラマとしてより、ドキュメントとして見ちゃったかもです。
だから、多分最も大事な、たけしさんのエピソードはあまり残らなかったです。

投稿者 きさら先 : 2010年08月31日 00:56