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2004年09月20日

すいか(つづき)

連続TVドラマ「すいか」

2003年7月~9月放送 10回 日本テレビ系
脚本:木皿泉
キャスト:小林聡美 ともさかりえ 市川実日子 浅丘ルリ子 高橋克実 金子貴俊 小泉今日子 もたいまさこ 白石加代子 猫 ほか
演出:佐藤東弥 佐久間紀佳 吉野洋
プロデューサー:河野英裕

A:昨夜(04/9/18)「僕と彼女と彼女の生きる道」(フジTV系)のスペシャルがあって・・・
S:楽しみにしてたのに録リ忘れた。どうでしたか?
A:ほとんど「総集編」でがっかり。
S:「Dr.コトー」のSPもそうだったような・・・。
A:朝日新聞の「試写室」では、「初めて見てもドラマの内容が伝わる構成になっている」と(笑)。
S:ものは言いよう、ということですか。
A:これが「すいか」だったら決してそんなスペシャルは作りません!
S:作者でもないのに(笑)。そうそう「すいか」の話やったね。

A:えーと、前回の続きです。「すいか」の作者木皿泉が、この作品によって2003年度「向田邦子賞」を受賞しました。
S:good newsですね。たしか新聞でも読んだような。どのような賞でしたっけ?
A:テレビドラマの脚本を対象としたもので、82年度が第1回で市川森一、第2回山田太一、前年2002年度第21回は倉本聰「北の国から2002遺言」でした。野沢尚も98年度に受賞している。
S:ずいぶん詳しいやん。
A:「ドラマ」という雑誌の7月号がこの受賞記念特集号で、資料はそこから。「すいか」のシナリオが1話から4話まで載っているし、作者のインタビューもあります。
S:たしかその木皿さんてふたりだとか。
A:そう、男女ふたりの作家なんです。おふたりの写真もあって、ふつうのおじさんとおばさんて感じ(失礼!)。授賞式には女性だけ出られたようです。
S:いままでどんな作品があるの?
A:「やっぱり猫が好き」(フジテレビ)の何本か。あと日本テレビで「秘密の花園」という単発があったみたい。「くらげが眠るまで」というDVDが出ているようだけど、いま手に入るかどうかちょっとわからない。「すいか」をという企画にあたって、木皿さんの連絡先がわからなくて困ったとか。
S:浮世離れしてるんやね。
A:神戸に住んでおられるらしい。便宜上執筆の間東京に、みたいな話もあったけど、申し訳ないけど生活してないと書けないと思う、と話してる。インタビューも女性だけのようですね。
S:受賞については?
A:「荒野に宿屋さんの灯りが見えた、頼もしいようなホッとしたような、嬉しかったですね」「好きなことしかやらずにここ何年か来てるんで、励みになりますね」と喜んでおられます。
S:「好きなことしかやらずに」って凄いよね~。
A:さっきの「生活してないと書けない」もね、よほど自分(たち)の世界観価値観をしっかりもっていないと出ない言葉です。
S:あのドラマを観たものには納得のゆく人柄ですね。「すいか」の世界もちゃんとできてた。
A:それは作者も言ってるけど、役者さんもスタッフもその世界を大事にして、乗っていたそうです。
S:やっぱりそういうドラマが面白いんだね。


A:ドラマって脚本家が書くと思っていたけど、違うのね。
S:どういう意味?
A:どうも一般的にはプロデューサーと話を組み立てていくらしい。
S:そういう話は聞いたことがある。名のある脚本家は別でしょうが。
A:木皿さんはそういう仕事の仕方はしないので苦労したとプロデューサーの河野さんが言っている。
S:見込んで頼んだ河野さんも偉いですね。
A:若い方のようです。数字のことを考えて分かりやすくしてくれと言うと「分かりやすいようにするから詰まらなくなると怒られました」と語っています。
そんなに苦労して作ったのに、結局視聴率の責任をとって、もうドラマはやっておられないとか。残念な話です。
S:日本テレビさんに頼みたいです。賞もとったことだし・・・。
A:「すいか」part2を同じコンビでぜひお願いします。

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「ドラマ」'04 7月号 映人社 平成16年7月1日発行

投稿者 蒼木そら : 00:53 | トラックバック

2004年09月09日

すいか

連続TVドラマ「すいか」

2003年7月~9月放送 10回 日本テレビ系
脚本:木皿泉
キャスト:小林聡美 ともさかりえ 市川実日子 浅丘ルリ子 高橋克実 金子貴俊 小泉今日子 もたいまさこ 白石加代子 猫 ほか
演出:佐藤東弥 佐久間紀佳 吉野洋
プロデューサー:河野英裕
お話:賄い付き下宿「ハピネス三茶」に住む4人とその周囲の人々の毎日と生き方。(と言ってしまうとつまらないが、笑ったり、深くうなずいたりするエピソードがぎっしり)

S:いまごろ去年のドラマの話を持ち出して何?
A:いやね、去年の夏は「すいか」があったなぁと。毎週土曜日が待ち遠しかった。
S:あれは、いかにもという設定がいやと言って見ないひともいた。
A:そういうひとは大きな獲物を逃がしたと言ってあげたい(笑)。ドラマはみんなフィクションなんだから、「ありえない」のは当たり前なんだよね。ま、入り込めないひともいたでしょう。入り込んだ人たちはBBSなんかでは熱狂的に支持していた。
S:番組の掲示板とか読んだの?
A:はい。ほかにファンサイトもできていて、それも・・・(笑)。ストーリーだけでなく、個性的なキャスト、雰囲気いっぱいの舞台設定、ファッション等々魅力的だったので話がはずんでいました。秘密にされている「ハピネス三茶」ロケ地を探して行く人もあったみたい。
S:視聴率はふるわなかったとか。
A:そうそう、日本テレビの「すいか」のHPにプロデューサーの河野さんが「すいかを見守って下さったみなさまへ」というメッセージを書いてるのを見つけたのですが、いまの状況では「ある意味冒険的企画」で「結果視聴率というものさしでは失敗でした」が、「ホームページに寄せられた皆様のお手紙を読むたびに教授の台詞ではありませんが”いて、よし”と励まされた3ヶ月間でした。」と。
S:泣かせますね。
A:ちなみに「教授」とは浅丘ルリ子さん演じる大学教授でハピネス三茶の長い住人。スリッパで大学へ行っちゃうエピソードも。
河野さんも引用しているけど心に残る台詞がいっぱいあったし、キャストがまたみんなよくて、「あの人がちょっとねー」ということがぜんぜんなかった。猫に至るまで(笑)。細かな道具立てがまた面白くて・・・。
と言い出したらとまらないので、本題にはいりますが。
S:え?前置きやったんか!長~い前置きやなあ。
A:おや?突然関西弁に。
S:関西弁、つっこむのに便利なんや。長いの疲れるわ。次回にしたらどうやろ。
A:では、次回の予告です。脚本家木皿泉さんが「すいか」により向田邦子賞を受賞しました!(といっても5月のことですが)この木皿さん、あまり作品がないので私たちには謎の方だったんですよね。で、受賞されてインタビューなどや「すいか」裏話も読むことができたので、そのお話など。

 「すいか」DVD 03/12/21発売 バッブ
 DVD-BOX(4枚組)18,060円

投稿者 蒼木そら : 14:55 | トラックバック

ラストプレゼント~娘と生きる最後の夏10/11

9月8日(水)10時15分(野球のため15分遅れ)  日本テレビ系

A:今日の一曲は「上を向いて歩こう」ですね。
B:娘明日香(天海祐希)の重い病気を知っている田舎の父(平泉成)が公民館のようなところでの初ライブに娘を舞台に誘って歌うあれですね。
A:父と娘は元気よく歌っているけれど、やはり病気を察している母(大森暁美)は涙をこらえている。その様子を見て明日香の娘歩(福田麻由子)もなにかを察し始めるのよね。
B:自分がいると、父(佐々木蔵之介)と婚約者(永作博美)にも、母とボーイフレンド(要潤)にも邪魔になると思って家出するほどの敏感な子だものね。
A:8歳であんなにひとの気持ちを察するのか!と今日のほかのシーンでも以前の回にも思った。でも不自然ではなくて脚本(秦建日子)には説得力があります。

B:では私は「今日の号泣」。初めて明日香の病気を知った元夫の聡(佐々木)が歩を田舎へ行ってる明日香の下へ連れて行くわけだけど、行って帰ってくるまでずーっと怒っている。出迎えた婚約者有里(永作)に、「ほんとに最初から最後まで勝手なヤツだ!」と言っている間に涙になり号泣。
A:男のくせに婚約者にすがって大泣き!それも元妻のことで・・・。
B:でも見てて泣いたでしょ?悲しいが怒っているというところもなかなか上手だったじゃないですか。死という理不尽なものに対する憤りというのかな。
A:もう来週が最終回とか、意外性はないかもしれないけど、好感のもてる終りを期待しましょう。

投稿者 蒼木そら : 00:25 | トラックバック

2004年09月05日

映画「父と暮せば」

8月24日(火)岩波ホール(東京・神保町)で話題の映画「父と暮せば」を観た。
午後2時からの回を観るのに1時すぎに窓口に。入れ替え制のためまずチケットを確保しておくのだ。訊くとギリギリに入場すると最前列の補助イスですという。急いで近所で昼食をとり、ホールへ戻る。入ってみると、ロビーに飲み物の自動販売機も椅子もあり、パンなど食べられるようだった。

開演前にアナウンスがあり、黒木監督が来場されているので挨拶を、という。ラッキー!
暑い中そしてオリンピックでお忙しい中を、と軽く笑わせ、短い挨拶をされた。
出演の宮沢さんと原田さんと広島と長崎へ行ったこと、核兵器はその後も大量に作られ存在する、少しでも減らすよう努力しましょう。また、このような地味な映画が大勢の方にこうして支持されることは、映画を作る若い人たちにも励みになるだろう。ありがとうございます。ごゆっくりご覧下さい。
簡潔にして力強いお話だった。

映画の内容については評も多くでているので省くが、原田芳雄と宮沢りえの軽妙な広島弁の会話のやりとりで、会場からはときどき笑いも起きていた。
しかし、舞台は1948年の広島である。
娘は「うちが生き残ったんが不自然なことやったんじゃ」と言い、娘の「あの日」の回想に父が「むごいことよの」と返すとき、言葉はずしりと重くなるのである。
父が、なぜ娘の前に姿を現したか話すセリフも美しく、もう一度聞きたいと思った。
舞台では観ていないのだが、この作品は井上ひさし作の戯曲をあまり変えていないと聞く。シーンは回想以外は一軒の家の中で、登場人物もほとんど二人、まるで舞台を観ているようだ。となると、この映画の芯はやはり言葉であろうか。

黒木監督はどうして原作からあまり離れずに映画化したのだろうか。それは監督の謙虚な意図かもしれない。
帰り道、耳に残る言葉とともに浮かび上がるあのシーンこのシーンに、改めて映像の力を感じ、監督のその意図は見事に成功していると思った。

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映画「父と暮らせば」(2004年/日本)
原作:井上ひさし「父と暮せば」(新潮社刊)
監督:黒木和雄
脚本:黒木和雄/池田眞也
キャスト:宮沢りえ、原田芳雄、浅野忠信ほか
岩波ホールにて上映中
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投稿者 蒼木そら : 01:17 | トラックバック