水無月の夜

蛍狩りから もどった君は
足も洗わず 籐椅子に
川むこうには たくさんいたと
ゆかたのすそをぬらして
水無月の夜 送り火の前

夏帯解いて ゆかたを着がえ
たけの長さを 気にして
君の作った 砂糖水には
かげろうゆれて 動いた
水無月の夜 迎え火の前

蚊帳をくぐって 蛍かごあけ
笹の葉を持ち とまれと
灯りを消せば 蛍も見える
夜具とゆかたのふれ音
水無月の夜 蛍火の中

カテゴリ : 1976「招待状のないショー。」 登録日 : 2006年03月09日 00:22