白い一日  小椋佳作詞

まっ白な陶磁器をながめては飽きもせず
かと言って触れもせず そんなふうに君のまわりで
僕の一日が過ぎてゆく

目の前の紙くずは古くさい手紙だし
自分でもおかしいし やぶりすてて寝ころがれば
僕の一日が過ぎてゆく

ある日 踏切りの向こうに君がいて
通り過ぎる汽車をまつ
遮断機が上がり ふり向いた君は
もう大人の顔をしてるだろう

この腕をさしのべて その肩を抱きしめて
ありふれた幸せにもちこめればいいのだけれど
今日も一日が過ぎてゆく

登録日 : 2006年3月17日(金) 18:01

おやすみ

あやとり糸は昔
切れたままなのに
想いつづけていれば
心がやすまる
もう すべて終ったのに
みんな みんな終ったのに

偽り事の中で
君をたしかめて
泣いたり笑ったりが
今日も続いてる
もう すべて終ったのに
みんな みんな終ったのに

深く眠ってしまおう
誰も起こすまい
あたたかそうな毛布で
体をつつもう

もう すべて終ったから
みんな みんな終ったから

登録日 : 2006年3月 8日(水) 23:55

小春おばさん

風は北風 冬風
誰を誘いに来たのか
子供は風車まわし まわされ
遠くの空へ 消えてゆく

小春おばさんの家は
北風が通りすぎた
小さな田舎町 僕の大好きな
貸本屋のある田舎町

小春おばさん 逢いに行くよ
明日 必ず逢いに行くよ

風は冷たい北風
はやくおばさんの家で
子猫をひざにのせ いつものおばさんの
昔話を聞きたいな

小春おばさん 逢いに行くよ
明日 必ず逢いに行くよ

登録日 : 2006年3月 8日(水) 23:54

FUN

きまぐれ いたずら 待ちぼうけ
赤いパラソルがゆれてる
君は雨を見ているの?
雨を見てるふりだけなの?

ため息まじりの夕暮
エナメルの靴もぬれてる
帰り道の水たまり
よけて通る事もない

明日が天気になると今日の事が
想い出のひとつになり君は笑うかな?

泣き虫 弱虫 ひとりきり
心の鍵をなくしたの?
君が悪いのさ 今日は
ひとりで恋なんかして

日記に書いてる事は
やっぱり悲しい事かな?
それとも今日から日記を
やめると書いているのかな?

明日はいつもの君になって欲しい
やさしい笑顔の君をとても見たいから

五月雨 夕立 時雨
みんなぬらしてゆくけれど
いつかそれも乾くのを
君はまだ知らないのかな?

登録日 : 2006年3月 8日(水) 23:53

待ちぼうけ   忌野清志郎 共作(詞・曲)

いつも僕は君を待ってる
早くドアを開けておくれ
僕の部屋に甘い匂い
今日も少しわけておくれ
マジックパズルで遊ぼう 時を忘れて
楽しい夕べに何かが待っているみたい

少しドアを開けてみたら
誰か「こんにちは」と言った
だけどそれは隣の住人
さようならとドアを閉めた
今夜の為に買ってた花がしおれて
悲しい気持がますますセンチメンタルに

時計だけが僕を見てる
僕は窓の外を見てる
外は暗くなってきたよ
道に迷わないでおくれ
呼リンなんかは使わずドアを開けたら
僕の前に来て、それまで僕は目をつぶる

登録日 : 2006年3月 8日(水) 23:52

心もよう

さみしさのつれづれに
手紙をしたためています あなたに
黒いインクがきれいでしょう?
青い便箋が悲しいでしょう?

あなたの笑い顔を不思議な事に
今日は覚えていました
19歳になったお祝いに
作った唄も忘れたのに--

さみしさだけを手紙につめて
ふるさとに住むあなたに送る
あなたにとって見飽きた文字が
季節の中で埋もれてしまう

遠くで暮らす事が
二人にとってよくないのはわかっていました
くもりガラスの外は雨
私の気持は書けません

さみしさだけを手紙につめて
ふるさとに住むあなたに送る
あなたにとって見飽きた文字が
季節の中で埋もれてしまう

あざやか色の春はかげろう
まぶしい夏の光は強く
秋風の後、雪が追いかけ
季節はめぐりあなたを変える

登録日 : 2006年3月 8日(水) 23:51

自己嫌悪

めくらの男は静かに見てる
自分の似顔絵 描いてもらって
似てるとひとことつぶやいている
あなたの目と目よ 涙でにじめ

病の男は淋しく見てる
あまりに薄い日めくりの紙
つきそう子供はたじろぎもせず
あなたの体よ 天までとどけ

眠れぬ男はばんやり見てる
明日とよべない自分の朝を
たばこの煙は線を描いて
あなたは息づく事がないのか

歌えぬ男はおびえるばかり
明日の仕事は南か北か
ここまでおいでと誰かの声が
どこまでゆくのだ 貧しい足で

登録日 : 2006年3月 8日(水) 23:50

氷の世界

窓の外ではリンゴ売り、声をからしてリンゴ売り
きっと誰かがふざけてリンゴ売りのまねをしているだけなんだろ
僕のTVは寒さで画期的な色になり
とても醜いあの娘をグッと魅力的な娘にしてすぐ消えた
今年の寒さは記録的なもの、こごえてしまうよ
毎日、吹雪、吹雪、氷の世界

誰か指切りしようよ、僕と指切りしようよ
軽い嘘でもいいから、今日は一日、はりつめた気持でいたい
小指が僕にからんで、動きがとれなくなれば
みんな笑ってくれるし、僕もそんなに悪い気はしないはずだよ
流れてゆくのは時間だけなのか、涙だけなのか
毎日、吹雪、吹雪、氷の世界

人を傷つけたいな、誰か傷つけたいな
だけど出来ない理由は、やっぱりただ自分が恐いだけなんだな
そのやさしさを秘かに胸にいだいている人は
いつかノーベル賞でももらうつもりでガンバッてるんじゃないのか
ふるえているのは寒さのせいだろ、恐いんじゃないネ
毎日、吹雪、吹雪、氷の世界

登録日 : 2006年3月 8日(水) 23:49

チエちゃん

ひまわり模様の飛行機にのり
夏の日にあの娘は行ってしまった
誰にも“さよなら”言わないままで
誰にも見送られずに
ひとりで空へ まぶしい空へ 消えてしまった

さみしい気持になった時には
むこうの海岸で水着になって
お日様に体を見せつけてやれ
言葉を越えているはずだ
むこうの海の水もつめたいばかりじゃないだろ

見知らぬ町から遠くの町へ
何かを見つけて戻ってくるの?
それともどこかに住みついたまま
帰ってこないつもりなの?
どうして君は だまって海を 渡っていったの?
ひとりで空へ まぶしい空へ 消えてしまったの?

登録日 : 2006年3月 8日(水) 23:48

帰れない二人 忌野清志郎共作

思ったよりも夜露は冷たく
二人の声はふるえていました
“僕は君を”と言いかけた時
街の灯が消えました
もう星は帰ろうとしてる
帰れない二人を残して

街は静かに眠りを続けて
口ぐせの様な夢を見ている
結んだ手と手のぬくもりだけが
とてもたしかに見えたのに
もう夢は急がされている
帰れない二人を残して

もう星は帰ろうとしてる
帰れない二人を残して

登録日 : 2006年3月 8日(水) 23:46

はじまり

夜が来た
華やかなドレスを着飾り夜が来た
きれいだな ふるえそう
今夜は誰でも愛せそう

登録日 : 2006年3月 8日(水) 23:45

あかずの踏切り

目の前を電車がかけぬけてゆく
想い出が風にまきこまれる
思いもよらぬ速さで 次々と電車がかけぬけてゆく
ここはあかずの踏切り

踏み切りのむこうに恋人が居る
あたたかいごはんのにおいがする
ふきこぼれてもいいけど 食事の時間はのばして欲しい
ここはあかずの踏切り

電車は行く先を隠しているし
僕には調べる余裕もない
子供は踏切りのむこうと、こっちとでキャッチボールをしてる
ここはあかずの踏切り

相変らず僕は待っている
踏切りがあくのを待っている
極彩色の色どりで次々と電車が走ってゆく
ここはあかずの踏切り

登録日 : 2006年3月 8日(水) 23:44